HOME MAKERS 小豆島ひとやまの農家カフェ 三村拓洋さんご家族

都会暮らしを捨て、一家で移住
夢は自然の楽園をつくること

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三村拓洋さん ご家族の物語り

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山里で生きよう

島に移り住んだ
家族の物語り

造園設計の会社に10年。昼夜机に向かう仕事だった。

子どもが生まれ、朝から晩まで多忙な夫婦共働き。
ほとんどの食事は外食。それはそれで楽しい。

都会の暮らし方としては、ごく普通かもしれない。
違和感を覚えながらも過ぎていく都会の暮らし。

「でも、なにか違うんじゃないかな」。

2011年、家族が体調を崩したこともあり、ぴたりと歩みを停めた。
ふと振り返り、これから先を見るようになった。

悶々と満たされない気持ち。
もっと家族一緒にいる時間を確保したい。

そんなとき、ひとつの雑誌の見出しにグッときた。

“たとえば、いま、あなたが都会を離れて
島で暮らすとしたら“

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根は脈々と島にあった

あたたかいルーツに帰るとき

もし、自分の身になにかが起こった時に、
生き抜いていく力をもっていたい。

自給自足できる時間と向き合うために、
祖父の残してくれた築140年の家があった。

いや、家だけではない。

豊かすぎる自然と、世代を超えてゆるやかに
つながる「三村」を知ってくれている人々もたくさん。

子どもの頃は、お盆と正月にしか訪れなかった
あの田舎の島が、「よく帰って来たな」と
待っていてくれたようにさえ感じた。

都会でも築90年の古民家に住んでいた。
古材の温もりがやさしかったが、
ここではそれ以上の安らぎがある。

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山里は豊かな人里

肥土山(ひとやま)という
海の見えない場所で

2012年10月、同じ想いを抱いていた
妻のひかりさんも、なんの迷いもなく移住に同意。

学生時代から飲食のアルバイトをしたり、
卒業後も本格的に料理の腕を磨いていた夫の拓洋さんは、
以前からよく食事を作ってくれていた。

いまは、4反の畑で自分たちの食べるものをつくりたい。

そんな想いもひとつに、5歳になる娘のいろはちゃんも
農作業に加わって、よいしょ、よいしょ。

隣のおばちゃんも農家をしていて、
いろいろなものをくれて、おしえてくれる。

自然に「こんにちは」と言える暮らしが
すがすがしい。

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「住み開き」という場づくり

誰でもが気軽に来てくれるところへ

「自分だけの場所を、みんなのためにちょっとだけひらく」。

2009年にあるアートディレクターが提唱した生き方を
ここ小豆島で実践したい。

ワークショップや勉強会もしたり、
もちろん地元で採れた野菜や果物を食べられる、
そんな農村にあるカフェをこの夏にオープンするために、
今はせっせと、でも自分たちのペースで準備中。

その予行練習に近くの「多聞寺」で、
期間限定の「寺カフェ」を5月にオープン。

赤ちゃんのいるご家族、旅を楽しむ女子、
近所のおっちゃんやおばちゃん。

人づての評判が広がり、連日大盛況。

「住み開き」のいい予感が広がった。

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自然のまま、楽園のように

造園の仕事が、今につながってきた

田舎の馬小屋を住まいにするために、生涯をかけた
スリランカの建築家、ジェフリー・バワ。

造園設計の仕事をしていた頃、
自然を活かす彼の仕事に魅了された。

すぐそこに、食べるためのハーブがある。レモンがある。

アリス・ウォータースが開いたサンフランシスコの
オーガニックレストランは、自然のままなのに、
その畑がデザインされた庭のように美しかった。

つくられたというよりは、自然に活かされた理想の園。
オリーブ、レモン、梅、だいだい、いちご、みかん、野菜の数々。

小豆島はほんとうに豊かに多彩に育てられる。
もちろん、お米だってこの千枚田で収穫ができる。

ここ肥土山は、その名の通り「土」が「肥沃」。

ここで、楽園をつくりたい。

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いろいろなものをつくるということ

小豆島ひとやまの農家カフェ、HOME MAKERS。

ロジカルにものごとを考えても、答えが出ないことがある。
綿密に計算しても、想定外のことは起こりうる。

ビジネスも農業も「段取り8割」。

準備がほとんどのことを決めるけど、
ガチガチになる必要なんてない。
ある程度の幅をもって取り組めば、柔軟に対応できる。

そんなしなやかさを持って、いろいろなものをつくり、
いろいろなことを紡いでいきたい。

いつも人がいる集落を見渡せるこの里は、いつも安心感がある。

「伝えたい」「広めたい」というより、
描いているイメージをリアルにしていきたい。

笑顔が絶えない三村家族に引き寄せられる人は、
きっと自然に集まってくる。

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  • Text : 野村充史
  • Photograph : Nipponia Nippon
Profile三村拓洋さん、三村ひかりさん

三村 拓洋(みむら たくひろ)

奈良県生まれ。

大学で建築を専攻、卒業後に住宅の造園設計の仕事に携わる。

様々な庭をつくるなかで、ハーブや野菜を育てることに興味を持つ。

2012年に小豆島に移住、無農薬野菜を作り始める。

作る楽しみに溢れる生活を表現すべく、妻と「HOMEMAKERS(ホームメイカーズ)」

を立ち上げ、目下農業研修とカフェの立ち上げに汗を流す日々。

 

三村 ひかり(みむら・ひかり)

愛知県生まれ。

名古屋大学および同大学大学院で建築学を専攻。

卒業後、地図制作会社を経てIT企業勤務。

2012年秋、家族で小豆島に移住。

現在は夫ともに畑作業、カフェオープンの準備をしながら、Webサイト制作、撮影、執筆を行う。

マガジンハウスのウェブマガジン「コロカル」にて連載中。

 

http://colocal.jp/category/topics/lifestyle/shodoshima/