「肥土山農村歌舞伎」は、江戸時代前期に農業用ため池の完成を祝って行われたのが始まりとされています。以来、幕末〜明治にかけて最も盛大に行われ、現在までその伝承が伝わっています。青天井の芝生にムシロを敷いて、お弁当を食べながらお酒を酌み交わし、離宮八幡神社の舞台で行われる歌舞伎を見物する。素敵な伝統行事です。

蛙子池築造と肥土山農村歌舞伎の始まり

「肥土山農村歌舞伎」が行われる土庄町は小豆島の中西部に位置しています。その昔、この地では水不足で農民たちがひどく苦しんでいました。そこで、大きなため池を作ることになり、現在の蛙子池が築造されたといいます。その完成時、池の水が肥土山離宮八幡神社の側溝まで流れてきたのを村人たちが喜び、神社の境内に仮小屋を建てて歌舞伎を奉納したのが、「肥土山農村歌舞伎」の始まりといわれています。

奉納歌舞伎の裏舞台

「肥土山農村歌舞伎」は、肥土山地区の住民たちが輪番制で運営しています。年明けの役職決めからはじまり、2月の演目・出演者決め、5月4日の「どうやぶつ」という打ち上げまで、役にあたった人たちは歌舞伎のために尽力します。3月中旬には「練り固め」という決起集会が行われ、その後、本格的な練習が連日連夜続きます。「練り固め」は「地獄めし」とも言われており、これは「奉納歌舞伎が終わるまで途中で抜け出すことができない」というところからきているようです。

衣装の虫干し

年に一度、秋の晴れた日に「肥土山農村歌舞伎」で使われる歌舞伎衣装の虫干し作業が行われます。澄んだ青空の下に、約500点もの袴や襦袢、帯などが干されている様子は圧巻! 衣装の1つ1つに歴史や物語があるようで、見ているだけで楽しくなります。奉納歌舞伎を見逃した方は、秋の虫干しを見に行ってみてはいかがでしょうか。

肥土山農村歌舞伎の基本情報

2015年4月24日 公開

住所 〒761-4388
香川県小豆郡土庄町肥土山

アクセス 土庄港から小豆島オリーブバス奥中山行き肥土山農村歌舞伎前下車

期間 毎年5月3日
15:30〜20:00

お問い合わせ土庄町教育委員会生涯学習課
TEL.0879-62-7013

その他香川県無形民俗文化財

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