小豆島は醤油の町

香川県の小豆郡・小豆島の名産品といえば「醤油」。香川の醤油の生産量は全国5位で、そのうちの約半数近くが小豆島産です。小豆島には醤油の町・醤の郷があり、歴史ある多くの醤油蔵が軒を連ねています。醤の郷の散策路を歩けば、醤油と佃煮の香りが漂います。小豆島の醤油の特徴は「木桶仕込み」。木桶仕込みの醤油は、戦後減り続けていますが、小豆島ではいまなお木桶による醤油づくりが行われています。木桶でつくられた小豆島醤油には、自然の恵みにあふれる味わいがあります。ここでは、小豆島醤油の歴史や特徴を紹介します。

小豆島の醤油の歴史

醤油のはじまり

醤油のはじまりには諸説あります。醤油の原型は保存を目的とした「醤」。この「醤」のひとつである穀物を塩漬けにした「穀醤」は、弥生時代からつくられていました。醤づくりから味噌が生まれ、この味噌から滴る液体が醤油になったとされます。また、鎌倉時代に中国から伝来した径山寺味噌の製造過程で抽出された液体が、醤油の原型になったとする説もあります。
本格的に醤油が生産されたのは江戸時代。関東では濃口醤油、近畿では淡口醤油が開発されました。明治時代より醤油の製造の機械化が進み、戦後には技術革新による醤油の大量生産が実現。醤油は全国の食卓に広まりました。
日本で生まれた醤油は現在、世界の食卓で使われています。長い年月をかけて確立された日本の醤油。そんな醤油の名産、小豆島の醤油の歴史を紹介していきます。

小豆島の醤油のはじまり

小豆島の醤油の起源は約400年前。小豆島へ来島した大阪城築城の採石部隊が、紀州湯浅の醤油を調味料として持ち込んだのがはじまり。湯浅の醤油に興味を持った小豆島島民が、湯浅にわたり醤油づくりを習得。この技術を島に持ち帰って小豆島醤油は生まれました。
小豆島には醤油づくりに適した環境があります。塩田より採れる良質な塩や麹の発酵に適した温暖な気候。海運の利便性が良く立地に恵まれたこともあり、小豆島は醤油の名産地へ発展。明治時代には最盛期を迎えて、400件もの醤油蔵が京都や大阪の問屋と取引していました。

小豆島の醤油のいま

小豆島には、明治時代に400軒もの醤油蔵がありました。現在では、22軒ほどの醤油蔵しか残っておりませんが、香川県の醤油の生産量は全国で5位。そのうち半数以上が小豆島産の醤油です。都市の醤油売り場には、小豆島産の醤油が多く並んでいます。
小豆島では、現在でも、醤油づくりに木桶が利用されています。全国の木桶仕込みの醤油の3分の1以上が小豆島産と言われるほど。いまでも伝統的な醤油づくりが行われています。小豆島産の醤油には、昔ながらの深い味わいがあります。

小豆島の醤油づくり

小豆島醤油の種類と原材料

醤油には「白・淡口・濃口・再仕込・溜」の5種類があります。甘かったり、濃かったり、それぞれに味わいが異なります。小豆島でつくられる醤油はおもに「淡口・濃口・再仕込」の3種類。四国では甘い醤油が好まれる傾向にありますが、小豆島では甘い醤油がほとんどつくられていません。原料は大豆と小麦。約半々に使って小豆島の醤油はつくられています。

小豆島醤油の製造方法

醤油の製造方法には、本醸造・混合醸造・混合の3種類があります。大豆と小麦を麹菌や酵母などの微生物により、長期にわたり発酵・熟成させたものが本醸造。混合醸造は、本醸造の諸味にアミノ酸液を加えて熟成させる方式。混合方式は、共同工場で造られた生揚醤油にアミノ酸を混ぜ合わせたもの。小豆島の醤油は、ほとんどが本醸造でつくられます。江戸時代から続く、伝統の製法で小豆島醤油はつくられています。

木桶でつくる、小豆島の醤油

小豆島では、木桶による醤油づくりが長年続いています。木桶は乳酸菌や酵母菌などの微生物が生きるのに最適な環境。これらの微生物は、醤油などの発酵調味料のおいしさを生み出します。江戸時代まで、発酵調味料はすべて木桶にて醸造されていました。小豆島内の木桶の数は1000本以上。マルキンで親しまれる醤油メーカー「盛田」は、小豆島内に約300本以上の桶を持っています。また、ヤマクロは自社で木桶の製造に取り組み、約4年の歳月をかけて熟成させた醤油「鶴醤」を販売しています。小豆島醤油のおいしさの秘密は木桶による醸造でしょう。

醤の郷とは

醤油と佃煮の香り漂う醤油の町・醤の郷

醤の郷は、小豆島の南東部にある醤油づくりの町。醤油産業の歴史景観を保護するために整備された地域です。ここでは、明治時代に建てられた醤油蔵を見学できます。醤油蔵の中には、登録有形文化財に認められた蔵も。今でも一部の醤油工場やもろみ蔵が使用されていて、小豆島の食文化を支えています。醤油蔵以外にも、醤油を使った佃煮工場、ごま油を使った製法でそうめんを製造する工場、オリーブオイルの製造施設があります。佃煮の工場を見学するなら、こだわりの佃煮をお届けする小豆島食品は欠かせません。醤油を使ったおいしい料理やエステを堪能できる島宿「真里」もおすすめ。醤の郷を歩けば、醤油と佃煮の香りが漂います。醤の郷を散策し、醤油の歴史について学ぶのはいかがでしょうか。

 

醤の郷で小豆島の醤油を支える醤油業者

小豆島の醤油を支えてきた醤の郷の醤油業者には歴史があります。明治時代、日本は資本主義社会の躍進期にありました。関東の最上醤油に劣らない品質で醤油を作るという方針のもと、小豆島の醤油業者が話し合い、蔵元「丸金」(現盛田)を設立。醤油業者の技術や人をひとつに集約しました。この企業努力により、小豆島が生んだマルキン醤油は、長い年月をかけてキッコーマン・ヤマサ・ヒゲタに並ぶメーカーとして評価されるようになりました。
そんな歴史を持つ小豆島には、世界から評価される蔵元があります。丸島醤油株式会社はパリ国際食品見本市に出店し、フランスの3つ星レストラン「アルベージュ」に認められ、国産有機しょうゆを納品することになりました。
また各蔵元は、観光で訪れた人向けに、醤の郷を満喫できる催しを開いています。醤油・オリーブの製造、販売を行うヤマサン醤油株式会社では、醤の郷散策ガイドを開催。タケサン株式会社では、予約制の工場見学、ヤマヒサや正金醤油、島醸、マルキン醤油記念館では昔の醤油づくりの道具を展示しています。金両醤油は蔵人の説明付きで醤油の試食会を行っています。
醤の郷で、歴史ある醤油蔵を巡る旅はいかがでしょうか。

小豆島の醤油を使った特産品

小豆島の醤油を活かした佃煮

小豆島では、醤油と並び佃煮が名産品とされています。醤の郷には佃煮工場がたくさんあります。小豆島の佃煮が発展したのは戦後の食糧難の時代。醤油を活かすことができて傷みにくく、運搬しやすい小豆島の佃煮は、終戦後、食糧が不足する日本各地へ届けられました。現在でも、醤の郷にある小豆島食品をはじめ、おいしい佃煮を提供する販売所や食事処、レストランが小豆島にあります。佃煮と一緒に、瀬戸内海で獲れる海の幸を使った料理を食べられるのも小豆島の魅力。小豆島で、醤油を堪能するグルメの旅をしてみるのはいかがでしょうか。

小豆島の醤油を使ったソフトクリーム

小豆島には、特産品・醤油を使ったスイーツがたくさんあります。そのなかでも、観光に訪れた人から人気を集め、小豆島の名物として親しまれているのが醤油ソフトクリーム。ソフトクリームの甘味に醤油の塩味がとけ込んだ、絶妙な味わいです。醤油のソフトクリームは、マルキン醤油記念館や漁師村など、小豆島の名所で販売されています。ちなみに、小豆島には同じく名産品・オリーブを使ったオリーブソフトもあります。名産を生かした珍しいスイーツに出会えるのも、小豆島の魅力です。